一針多助 動物のための鍼灸漢方広場

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今月の先生

第5回オンペットクリニック 中医獣医師|漆原 俊明 来院が嬉しくなるような治療を
中獣医師としてのキャリアは何年ですか?
本科卒業が平成25年なので5年です。
症例件数は月間にどれくらいですか?
月間でおよそ約30例ほどです。
獣医師になろうと思った理由を教えてください。
小さい頃、テレビで『野生のエルザ』というアフリカライオンと人間との絆を描いたドラマをやっていてそれが好きで見ていました。当時エルザと仲良くしている女性が獣医師だと思っていて(実際には獣医師ではなく動物管理官だったのですが)、アフリカで野生動物を守る獣医師になりたいと思ったのが始まりです。高校の時にどの大学に行くか考えた時に幼少のその思いがよみがえり獣医学科を選びました。
中獣医師を目指すようになったきっかけはなんですか?
学生の時にアメフトをやっていたのですが、試合前に怪我をして医者に行きました。試合への出場は絶対に無理だと言われ失望していたのですが、友人から鍼のお医者さんを紹介されダメもとで行ってみました。治療をしていただいたら痛みがとれ試合に出られることができました。鍼治療はなんて効果があるのかと驚いたのが興味を持つきっかけでした。
獣医師となり当然西洋医学の治療をして参りましたが、ずっと鍼治療をやってみたいと思っていました。山内先生が学校を立ち上げたことを知り、やっと本格的に学べる場所ができたと思いすぐに入学手続きを致しました。
中獣医師を目指し学ぶ上で大変だったことを教えてください。
今までやっていた西洋医学と東洋医学の考え方の違いなどが最初2~3か月はどうしても理解ができず基礎理論は本当に苦労しました。
先生が治療を行う上で最も大切にしていることは何ですか?
治療した後に動物も飼い主様もリラックスして帰ることができるようにしたいと思っております。また、なるべく少ない鍼で効果をだし、苦痛を与えず、来院するのがうれしくなるような治療を目指しております。
臨床現場で「やっぱり中医学はここが面白い!すごい!」と思えるような時はどんな時ですか?
鍼灸治療を始めて最初の頃ですが、思った以上に効果が出たことが何回もあり、自分が治療しているのに飼い主様以上にビックリしたことがあります。
老齢でかなり弱ったラサアプソが飼い主様に抱かれて来院されました。 低アルブミンで腹水がたまり、腹水を抜いたり投薬したりと治療中の子だったのですが、経過が思わしくなくグッタリ横になった状態で、何も食べないし歩けなくなったとのこと。「体に負担にならない治療にしましょう」ということで鍼灸治療を提案し施術を開始しました。その日の施術を終え、次は2~3日後の予定で治療計画を立てましたが、かなり状態が悪かったので正直次があるかどうか・・・と思っていました。が、次に来院された時にその子が元気に歩いて診察室に入ってきた時には本当にビックリしました。
来院される方はどんな症状が多いですか?
後躯蹌踉や後肢麻痺などです。椎間板ヘルニアと診断されたが手術はしたくないという方が多いですね。
鍼灸治療において、先生が得意とする治療分野や症状・施述方法を教えてください。
未だに得意と言えるものはないので難しいのですが、先述した後躯麻痺の子が多いのでその治療と、老齢の猫ちゃんで腎不全の子が鍼灸で元気になってくれています。腎不全の子は最初は皮下輸液の併用が必要なのですが、治療をしていくことで輸液が必要なくなっていきます。しっかりと腎に力を戻していく治療を行います。
「動物の鍼灸治療」とはどういうものなのか、一般の飼い主様にも分かるように教えてください。
中医学の考えで一番大切なのは体を動かしているのは『』であることです。鍼灸治療はその気の動きを整えることで痛みや不調を取り除いていくことができます。また、現症状の治療だけではなく体全体の調整もできることから、今見えてない疾患も治療できるのです。また注射などの治療とは違い苦痛を伴うことがなく、副作用もまったくないのでとても動物にやさしい治療と言えます。
飼い主様にお願いしたいこと、またはアドバイスはありますか?
人間社会のストレス増加に伴い、動物たちにもストレスがかなりかかっていることを理解してあげて下さい。人間のように自ら相談に行くことやストレス発散することができないので、その子その子にあった対処を心がけてあげて下さい。
また老齢になってきた際には腰の冷えが腰痛などに繋がるので腹巻やお灸(棒灸)などで冷えをとるようにしてあげて下さい。冬はもちろんなのですが、夏もエアコンによりが冷えている子が少なくありません。
最後に、先生の想いやメッセージをお伝えください。
自分の気持ちを言うことができない動物たちの気持ちを感じ取り、心地よくなるような治療ができる中獣医師に少しでも近づけるよう努力を続けていきます。治療させていただいた子がリラックスでき、健やかに穏やかに生活できるようになってくれることを一番に考えております。

ありがとうございました。

ピア動物病院
獣医中医師 漆原 俊明

住 所 埼玉県川口市芝6990
電 話 048-268-7679(予約制)
http://pia-ahp.jp

※ご自宅でも継続的に鍼灸治療ができるように治療方法を分かりやすくご説明します。詳しくはホームページをご覧ください。